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COLUMNコラム

当事者たちが語る「ミッション&ビジョン」策定の裏側

ミッション・ビジョン策定ストーリー

2019年の春から始まった「ミッション&ビジョン策定プロジェクト」。
TSP太陽の新しい共通言語である「ミッション&ビジョン」は、約1年間という長い時間をかけて、社員の手で作られた一大プロジェクトだ。

まず、この「ミッション&ビジョン策定プロジェクト」実施のきっかけを知るためには、能村祐己社長が代表取締役に就任した2016年頃にさかのぼる。能村社長は当時、会社はとても良い状態であった一方で、「会社としてどこを目指すべきか」に関して、きちんと言語化されていなかったと感じていた。

そこで、ミッション・ビジョンという共通言語をつくり、その共通言語によって「この山を登るために我々は頑張っているんだ」ということが明確に言える状態になってから山を登り始めることが大切だと考えたという。

「納得性が大事なので、やるなら社員自らの手でつくるということが大切だと思っていました。とはいえ、正直に言えば、当初これを社員プロジェクトで本当に実行していくか、そもそもここを触っていいのか、ということも含めてほんとに悩みました」(「TSP太陽「VISON MISSION STORY」より)。

TSP太陽には、会社をここまで支えてきた「太陽社訓」がある。前代未聞の社員プロジェクトで、これに比肩するような良いものが出来上がるのだろうか、「小さくまとまっていたり、置きにいった内容であったらどうしよう」という不安もあった。

しかし、その悩みは全くの杞憂だった。2019年末、「ミッション&ビジョン」完成を経て、能村社長はこのように語っている。

「社員プロジェクトでやって良かった、本当に良かった、と思っています。世界を変えようという言葉が入っていたり、あるいは革新しようという、自分たちの挑戦的な内容も入っていたり。よくぞこれだけダイナミックな言葉を打ち出してくれたな、と」(同)。

こうして、目指すべきひとつの”山”ができた。ここに至るまで、どんなことがあり、実際に策定にかかわったメンバーはどんな思いを持っていたのか。

ここからは、視点をプロジェクトの現場に変えて、策定メンバーから事業開発室の神田涼子さん、営業部の石川智恵美さん、事務局から経営企画室の阿曽沼陽登さんと広報担当の山本聡さんにお話をうかがった。

「言葉ワーク」は策定メンバー全員が納得するまでとことん議論

ミッション&ビジョン策定メンバーの決定は2019年の3月でしたね。どのようなことから始めたんですか?

神田:最初の頃は策定メンバーが活動するというよりも、全社員を対象としたワークショップからスタートしました。正直、全社員参加型のワークショップは、当社として初の試みだったので、何がなんでも全員参加で作り上げたいという会社としての強い意志が感じられたと思います。

これらが集まり切った頃、その意見をイラストに描き起こした「グラフィックレコーディング」が貼りめぐらされた会議室に集まって、策定メンバーが議論していくという流れでした。

全社員を対象としたワークショップ

グラフィックレコーディングが貼りめぐらされたワークショップ

――全社員を対象としたワークショップとはどんな内容だったんですか?

阿曽沼:これまでのTSP太陽の歴史を紐解く「過去ワーク」と、今後未来へ向け会社がどうあるべきかを考える「未来ワーク」、そしてそれを表現するための言葉を導き出すという「言葉ワーク」を、それぞれのワークショップで行っていました。参加された社員に聞いたんですけど、日頃は仕事で忙しい中、あまり意識していないことだったので新鮮でしたし、社員同士でこういった会話をすることもなかったので、日頃一緒にいる仲間の新たな発見や意外な一面を知れた、と言っていたことが印象的でした。

石川:そうですよね。いつも近くで一緒に働いていたけれど、こういった話はしていなかったのでとても新鮮でしたね。このワークショップをすることで会社の社風や大切にしていることなど、私たちが働いているTSP太陽がこんな会社だったんだと改めて見つめ直せたことも記憶に残ってます。

神田:全社員から3000語以上あがってきて、エクセルに出力するととんでもない長さになってました(笑)。この膨大な言葉をメンバーみんなで整理して7つのキーワードに集約していくんですが、ここから誰もがピンとくるような言葉に置き換えていく作業が特に大変でしたね。

社員から上がってきた3000語以上の中からキーワードを絞り込んだ

山本:「探究」の「キュウ」は「究」がいいのか「求」がいいのかなんていうのも議論してましたね(笑)。

神田:そうそう。「思い」は「想い」じゃなくていいのか、とかね(笑)。個人的には3歩進んで2.8歩下がる、みたいな歯がゆい感覚が続いてましたね。でも、細部にわたってとことん議論したことで、「ビジョン」「ミッション」「行動指針」すべてにおいて、プロジェクトメンバーが納得できる言葉に集約することができました。

取締役の”凄み”を垣間見た合宿

――そして2019年11月に策定メンバーと役員とで山梨県の合宿ですね。12月の発表会へ向けて仕上げということですか?

阿曽沼:いえ、この時点では発表会の内容はほぼほぼ固まっていて、合宿では抽象的なところから具体的にブレイクダウンしていくプロセスでした。つまり「ミッション&ビジョン自体を考える合宿」というよりは、「このミッション&ビジョンを持って、会社は具体的な事業としてどんなことを行っていくべきなのか」という議論の場、という位置づけです。

日が暮れてからも議論。役員も社員も関係なくフラットに話していた

神田:ここでは、社員も役員も上司・部下ではなく、フラットな関係でいろんな議論ができたのは大きな収穫でした。クリエイティブだとか新しい発想って、若い人の方が斬新さがあると思うじゃないですか。でも意外と……と言っては失礼ですが(笑)、取締役の皆さんが柔軟で突飛なアイディアを出していたのには驚かされましたね。経験の多さだけじゃない、いま取締役でいる方たちの”凄み”みたいなものを垣間見られた気がします。

石川:普段会話を交わしたことが無い取締役の方々と会社の未来のことについて議論を交わすというのは異例のことで、参加前は皆とまどいがあったと思います。結果、時間を忘れて議論が止まらないくらい楽しくも充実した時間でしたね。あそこまでフラットに議論し合えたのは当社の熱い社風だなと思います。

山本:私は事務局としてこの合宿に参加しましたが、一番記憶に残っているのは、笑顔と真剣な表情を繰り返していたことです。和気藹々ながらも最後まで考えを絞り出すときの皆さんの表情は忘れられませんね。合宿やってよかったなと心から思いましたね。

全社員が集まる発表会で8ヶ月の成果を初お披露目

――その1ヶ月後の12月、ミッション&ビジョンの発表会ですね。

発表会では、能村社長によってミッション&ビジョンがお披露目された

山本:そうです。表参道の披露宴会場に全社員を招待してレセプション形式で行いました。今思えば、2019年の暮れですから世の中がコロナ禍になる直前ですね。参加者は110名でしたので、全社員の8割くらいが一同に集まった計算です。

阿曽沼:ここでは社長の能村によるミッション&ビジョンの発表をはじめ、策定メンバーによるプレゼンテーション、参加した全社員によるワークショップなどが行われました。

山本:そういえば、策定メンバーのプレゼンテーションの準備が印象的でした。初めて全社員にお披露目する場であったので、きちんとわかりやすく丁寧に伝えることを心がけており、ギリギリまでどう伝えるべきかを考えていた記憶しています。

ミッションビジョンを聞いて、社員それぞれが解釈した内容を短冊に書くというワークショップも行われた

――ミッション&ビジョンを初お披露目して、社員の皆さんの反応はいかがでしたか?

神田:事後アンケートでは否定的な意見を書く人は少なかったですね(笑)。ただ、ミッション&ビジョンの言葉自体は解釈の幅が広い表現になっているので、この時点では「具体的にはどういうことかわからない」という人は少なからずいたと思います。

――そこでその3ヶ月後の2020年3月に、より具体化した「行動指針」が発表されるわけですね。

神田:この3ヶ月は合計10回のワークを実施して「作り込みワーク」を行いました。合宿前に策定プロセスで挙がっていた7つのキーワードと行動指針案、そしてこれまで愛着を持ってきた「太陽社訓」を掛け合わせて、5つの指針を浮かび上がらせました。それが「想像」「学び」「挑戦」「信頼」「誇り」です。

制作プロセスこそが大きな一歩

――2020年3月の「行動指針発表」で、策定プロセスは一応の終了を迎えることになりますが、以降はどんなフェイズに入っていきますか?

阿曽沼:ここからは、完成したミッション&ビジョンと行動指針を、実際に事業戦略へ落とし込んでいくプロセスになります。行動指針を根本に持ちながら、みんなが思い描く未来に向けてどのような事業を展開していくべきか。これをテーマに、6月と7月にそれぞれ部課長と課員でワークショップを実施しました。

部課長ワークの様子。3ヵ年計画で事業戦略に落とし込む作業

――8月に中期経営計画と10月に組織改編がありますね。ここでさっそくミッション&ビジョンが取り入れられるわけですか。

阿曽沼:もちろん、ある程度は。ただ、ミッション&ビジョンを作ったからといって、何か劇的に変わるかというと、そこまでのものではありません。今後会社の方向性を決める際に照らし合わせることができる、全社員共通の”定規”のようなものができたということです。ミッション&ビジョンが真価を発揮していくのはこの先です。

――最後に、今回のミッション&ビジョン策定プロジェクトは、TSP太陽にとってどんな意味があったと思いますか?

山本:社員全員がわかる共通言語ができたことは非常に有意義なものだと思っています。社員全員が関わって作ったものですし、もちろん経営陣の声もしっかり入っている。「あそこを目指して進むぞ」という山が見えた感じがしますね。

神田:そうそう。なくても仕事はできるし困らないけれど、あると心強い”拠り所”みたいな存在。

石川:悩んだ時に立ち返れるものがあるのは会社としても、個人としても信条がブレないという強みですよね。

阿曽沼:ミッション&ビジョンを会社全体を巻き込んで決められたのは、会社としての大きな一歩だと思うし、なによりこの制作プロセス自体に意味があったと思います。先ほど神田さんも言っていたように、合宿でフラットな関係で議論したことで、社員は経営陣の視野を知ることができたし、逆に経営陣にとってもそうだったかもしれない。何かこういう”文化”ができたということが、非常に意味のあることだったんじゃないかなと思っています。

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