COLUMNコラム

デジタル広告が飽和する中、従来のイベントプロモーション手法では差別化が難しくなっています。
そんな今、改めて意識すべきなのがリアルな体験を通じたイベントプロモーションです。空間づくりに‟新しい設計思想”を用いることで、従来型の単なる集客イベントから脱却し、ブランドの世界観を深く訴求できます。
本記事では、下記内容をご紹介します。
イベントプロモーションにおいて今後キーワードとなる「イベントアーキテクチャ思想」
TSP太陽が考えるイベントアーキテクチャ定義
次世代の空間メディア「AIRCLAD」

「イベントアーキテクチャ思想」とは、イベント空間を単なる“仮設建築による会場”としてではなく、ブランド戦略の中核を担う「空間メディア」として捉えたイベントプロモーションの新しい考え方です。
この項では、イベントにおける空間づくりの潮流と、その中でイベントアーキテクチャ思想が注目されている理由を紹介します。
これまでイベント空間は、テントやブースといった「仮設建築」を用いた一時的な場としてつくられることが一般的でした。しかし近年では、イベントを単なる機能的な空間としてではなく、ブランドの世界観を建築で表現する「建築的ブランド体験」 へと進化させる動きが広がっています。
背景には、デジタル広告やSNSによるブランディングの飽和があります。オンライン上での差別化が難しくなるなか、消費者は「モノ」よりも「体験」に価値を見いだすようになりました。その中で、イベント空間はブランドの哲学を五感で伝える最も直接的なメディアとして、顧客体験をデザインする重要な接点となっています。
さらに、ESG・SDGsが重要視される現在、イベント資材の大量廃棄といった課題に対応するため、サステナブルな設計思想も欠かせません。
これからのイベント空間には、モジュラー化・再利用性・サステナブルデザインといった要素を組み合わせ、体験価値・ブランド表現・持続可能性を一体で設計することが求められています。つまり、「体験×ブランド×サステナビリティ」を融合させた空間づくりこそが、次世代のイベントプロモーションにおける鍵となります。
デジタルコミュニケーションが進む中、リアルなプロモーションの場となるイベント空間そのものの価値も、劇的に変化するタイミングを迎えています。
先に述べた「体験」に関し、企業は顧客に対して「感情をともなったリアルな共感体験」を与えられるよう意識する必要があるといえます。
単に商品を陳列してプロモーションを行うのではなく、共感や感動など、顧客の心を動かしてブランドの認知や購買意欲につなげるイメージを顧客に蓄積してもらうこと。そして記憶に残る特別な体験を、コンテンツや空間といったイベント全体で提供することが重要です。
海外では、そうした共感体験を提供するために、イベントプロモーションにおける空間を建築的な視点で統合的にとらえた概念が取り入れられ始めています。それが、今注目を集めている「イベントアーキテクチャ思想」です。
前述の内容も含め、イベントアーキテクチャ思想が求められ、注目される理由は、ブランド体験がこれまで以上に重要になるためです。
消費者が「モノ」よりも「体験」に価値を置く時代となった今、没入感のある空間で顧客の心に訴えかけることができるイベントには、空間メディアとしての新たな役割が生まれているといえるでしょう。
プロモーションという目的に加え、ブランドマーケティングという、より高次元の目的を達成するための重要な機会となる空間メディア=イベントにおいては、総合的な設計・構築による空間演出を行うというイベントアーキテクチャ思想が必要になります。
加えて、建てたい場所に一時的に建築し、店舗や広告利用といった役割を時間によって変化させるといった実験的な試みがしやすいという点も、イベントアーキテクチャの大きな特徴です。常設施設では実現が難しいアプローチでのプロモーションが可能なイベントアーキテクチャには、今後より注目が高まっていくと言えるでしょう。

海外の先進的なブランドは、ブランドの世界観を体現するメディアとして、イベント空間そのものをプロモーションに活用しています。
イベントアーキテクチャ思想にもとづき、没入感のある体験を提供することで、顧客との強固な接点を構築しています。その事例となるのが次の2つのイベントです。
「シャネル・モバイルミュージアム」は、2007年にシャネルのアイコニックなハンドバッグ発表を記念し、世界主要都市で巡回開催した現代アートパビリオンです。建築家のザハ・ハディド氏が設計したこのパビリオンは、シャネル特有の高いデザイン性を取り入れた有機的かつ彫刻的なフォルムにより、空間そのものでブランドの世界観を表現した芸術作品として、訪れる人に没入体験を提供しました。
また、基礎を必要としない建築構造を採用するなど、短期間で撤収・移動できる仮設性も兼ね備えており、イベント空間を高度なデザイン思想で展開したイベントアーキテクチャの先進事例です。
2015年2月、期間限定で、ニューヨーク・マンハッタンに、ナイキのポップアップストア「Zoom City SNKRS Station」が登場しました。この店舗は、ナイキがリリースを予定していたiOSアプリ「Nike SNKRS」のプロモーション用にオープンしたものです。
特に目を引くのは、シューズケース(靴箱)を模した巨大なデザイン。来店客に対しては、アプリを先行配信するためのアクセスコードを配布し、体験を通じて新しいアプリのプロモーションを最大化しました。

TSP太陽では、イベントアーキテクチャを次のように定義しています。
TSP太陽では、イベントアーキテクチャについて、「ブランドそのものを体験する時間が限定された特別な空間メディア」と定義し、以下の3つの要素を兼ね備えた建築様式だととらえています。
| 体験価値・没入型体験 | 来場者が空間全体を体験し、記憶に残る価値を提供 |
| ブランドスケープ性 | 建築を通じてブランドイメージ、ブランドカルチャーを空間に組み込み、世界観や価値を体感 |
| インスタレーション性 | 空間自体を芸術作品のように見立て、鑑賞・体験させる空間を構成 |
イベントアーキテクチャは、イベントにおける空間を建築的な視点で統合的に設計・構築することで成立します。
デジタルメディアでは伝わらないリアルな魅力をアピールするためのコミュニケーションチャネルを確立し、来場者のブランド体験を最大化する新たな要素として、TSP太陽ではイベントアーキテクチャの確立を重要視しています。
海外では、ブランド体験そのものを建築でデザインする「Brand Experience Architecture」という考え方が広まっています。
日本における「仮設建築」が一時的でコスト重視ととらえられがちなのに対し、海外では「建築」はブランド思想を体験化する投資と考えるトレンドが生まれています。
従来のイベントにおける「施工」は、主に「装飾や導線」を目的とし、来場者の行動のしやすさや円滑な運営のための‟機能面”を重視していました。
これに対し、イベントアーキテクチャは「ブランド世界観の体現と体験価値の最大化」というメディアとしての特別な役割を担います。イベント空間における考え方の違いが、イベントプロモーションに大きな変化を生み出しているといえるでしょう。

イベントアーキテクチャ思想に基づいたプロモーションは、次のようにブランド体験を激変させます。
没入感のある空間は、来場者の記憶に強く残り、ブランドへの好意度や購買意欲につながる強い印象を定着させます。会場全体で一貫した演出を行うことで、来場者体験の向上を実現できます。
フォトジェニックでインスタレーション性の高い空間設計により、来場者が自然と写真や動画を撮影・拡散するのを促すことで、ユーザー生成コンテンツ(UGC)が増加します。
SNSやメディアでの話題化を視野に入れた設計とすることで、集客の向上に貢献するだけでなく、イベント終了後も評価が持続するブランド資産の形成につながります。
企業のマーケティング課題の解決とブランド価値向上に直結し、競合ブランドとの差別化につながります。今までにない空間演出によって話題性を高めることで、競合優位性を確立したブランドポジションの向上を実現します。
また、再利用可能なモジュール構造により、環境配慮型イベントとしてのPRにもつながります。

TSP太陽株式会社が日本独占ライセンスパートナーとして取り扱う「AIRCLAD」は、まさにイベントアーキテクチャ思想を体現する、新しい空間メディアです。次世代型の空間演出を実現するAIRCLADについてご紹介します。
AIRCLADは、グローバルブランドからも支持されている、「体験を建築する発想」から生まれたデザイン性の高いイベントアーキテクチャです。
世界三大プロダクト・デザイン賞の1つであるRed Dot Design Awardでデザイン賞を受賞したブランドであり、海外のブランドのポップアップ・展示会・スポーツイベントなどの多彩なシーンで活用されるなど、その存在感と実績が高く評価されています。
おもな特徴は、洗練されたデザイン性と自由度の高いカスタマイズ性で、短期施工が可能なうえに繰り返し利用ができるといった、環境面の配慮までカバーしています。
| デザイン性 | 人の目を引き、好奇心をかきたてるアイキャッチ性の高いデザインです。 |
| カスタマイズ性 | シチュエーションや製品の特徴に合わせて、アイキャッチ性を抜群に高めるカスタマイズが可能。透明なスクリーンに映像を投影するディスプレイ広告や、壁面全体にブランドビジュアルを施すプリント広告としての活用も可能。 |
| 構造性・効率性 | アルミフレームを採用したテント施設で、外壁の二重層内部に空気を取り込むシステマティックな構造により、短時間での設営・撤収が可能 |
| 再利用性・耐久性 | 再利用性が高く、また耐久性にも優れているため、「仮設=持続可能資産」という新しい潮流を牽引。 |
TSP太陽は、豊富なイベント企画やプロモーションの経験とノウハウを活かし、次世代型イベントアーキテクチャ、AIRCLADを日本に導入しています。
AIRCLADの魅力の1つは、多様なシーンに対応する豊富なラインナップです。
ポップアップショップやラウンジに適し、モダンでポップな存在感と解放感を兼ね備えた「XPO10」、プロモーションや展示会に適した「XPO6」、そして、インフォメーションやチケットブース、飲食スタンドとして活用できるコンパクトな「YUMI」といったように、活用シーンに合わせたラインナップが展開されています。
TSP太陽では、AIRCLADを活用したプロモーションやスポーツイベント、展示会など、さまざまな空間演出を手掛けています。

女子プロゴルフトーナメント「アース・モンダミンカップ2024」では、会場内のギャラリープラザなどで「XPO6」や「XPO10」を含む大小さまざまなテントを含む会場全体の設営を当社が担当。
加えて、会場までの無料送迎シャトルバスの運行や、ケータリングの什器にいたるさまざまな備品のデザイン、シャワートイレやエアコンも備えた仮設トイレの設置など、豊富な施工・運営経験のノウハウを活かして最高のおもてなしをトータルサポートしました。



体験価値を重視する消費者の増加にともない、プロモーションイベントは単なる集客手段から、ブランドの哲学を体現し、顧客との強固な接点を生み出す場へと進化しています。
TSP太陽が提唱する「イベントアーキテクチャ」は、「デザイン×建築×体験」を統合し、ブランド体験を最大化する新しいアプローチです。
「AIRCLAD」のようなハイパフォーマンスなモジュラー建築を活用することで、短期間かつサステナブルに、記憶に残る没入型のブランド体験を創出できるのです。