COLUMNコラム
会場設営・運営を担う「SVリーグ」における、その先の高価値創造へ
2024年10月に開幕した「大同生命SV.LEAGUE」は、世界最高峰のバレーボールリーグを目指し発足した日本バレーボールの新しいトップリーグです。TSP太陽は「大同生命SV.LEAGUE」においてゴールドパートナー契約(呼称:アクティベーション&ホスピタリティサービスプロバイダー)を締結。リーグ戦における運営オペレーションをはじめ、スポーツファン・エンゲージメント向上などのアクティベーションや、スポーツの持つ体験価値を活用し、感動を共有できる場作りなどを企画します。スポーツを通じたホスピタリティサービスで、世界最高峰を目指すSVリーグの存在価値の向上をサポートしていきます。
TSP太陽はSVリーグのゴールドパートナー(アクティベーション&ホスピタリティサービスプロバイダー) です。
SVリーグにおいてTSP太陽は会場設営・運営のほか、近年注目を集めるホスピタリティサービスの創出を行っていきます。
欧米のスポーツ界では、試合の前後に特別な料理や選手との交流を楽しめるといったプレミアムな体験でおもてなしを行う「スポーツホスピタリティ」という観戦スタイルがすでに常識となっています。スポーツ庁の『ホスピタリティガイドブック(2025.3)』によれば、アメリカ4大プロスポーツリーグのスタジアム・アリーナのうち、プロアメリカンフットボールリーグ(NFL)会場に20以上、メジャーリーグ(MLB)の球場には15以上のVIPルーム等のホスピタリティ設備が設置・拡充されており、ホスピタリティサービスが盛んに行われている様子が伺えます。
スポーツ庁の『ホスピタリティガイドブック(2025.3)』より
一方で、日本ではスタジアムやアリーナのスペースが限られているなどの理由で、未だホスピタリティサービスは一般的とは言えません。しかしながら、2019年ラグビーワールドカップのホスピタリティパッケージの売上が100億円に上るなど、“観戦体験”を“記憶に残る物語”へと格上げする「スポーツホスピタリティ」の価値が評価され始めています。
従来型の飲食を伴う店舗での接待と比べて、試合会場にステークホルダーの家族も招き入れ、特別なおもてなしを行う「スポーツホスピタリティ」の満足度は高く、企業間で活用することで、ビジネスの取引を加速させる一助となっていくことでしょう。
2025年5月にLaLa arena TOKYO-BAYにて行われた大同生命SV.LEAGUE CHAMPIONSHIP FinalsのBOXシートでは、購入者限定のグッズと食事が提供されました。
前述のスポーツ庁の『ホスピタリティガイドブック(2025.3)』によれば、2022年におけるスポーツホスピタリティ市場規模(市場調査会社QYR社による調査)は全世界で、約4,805百万ドル(日本円=約6,840億円※)、2029年には11,696百万ドル(日本円=約1兆6661億円※)に達すると予想されています。日本は2022年時点で259百万ドル(日本円=約368億円※)にとどまっているものの、2029年には801百万ドル(日本円=1,141億円※)に達すると予測されており、国内でも成長が見込める現状にあります。
※1ドル=142.5円換算(2025年5月27日現在)
スポーツ庁の『ホスピタリティガイドブック(2025.3)』より
当社は、これまでも国内有数のゴルフトーナメントや国際的なサッカー大会など様々なスポーツイベントでホスピタリティ施設の設営・運営を行うなど、ハード面とソフト面双方からのサポートを行ってまいりました。ホスピタリティ施設を有するスタジアムやアリーナが少ない日本の環境の中で、当社の強みである仮設施設の設営とイベント運営のノウハウといった経験値を活かして、「スポーツホスピタリティ」という新しい観戦スタイルと感動体験を日本でも定着させるべく、様々な取り組みを行っていきたいと考えています。
アース・モンダミンカップ2024では2階建てテント「PALAS(パラス)」を導入し、最上級のおもてなしを実現。常設のホスピタリティ施設を保有しないゴルフ場での経験値を今後活用していきます。
当社の「スポーツホスピタリティ」領域のアドバイザーを務める倉田知己氏(株式会社ジャパン・スポーツ&ツーリズム・プレミア代表)との出会いは2017年頃に遡ります。
イベントという切り口からスポーツに携わる事業者として、早い段階から「スポーツホスピタリティ」に関心を持ち、この分野の第一人者である倉田氏と意見交換を重ねてきました。そういった経緯から、独自のコンセプトのもと日本の環境に適した「スポーツホスピタリティ」を当社は創造しています。
上智大学外国語学部フランス語学科卒業後、JTBに36年間勤務。2020年に定年退職すると同時に株式会社ジャパン・スポーツ&ツーリズム・プレミアを設立。英国STH社とJTBの合弁で、日本で唯一のスポーツホスピタリティ専門会社となるSTH Japan設立に貢献。
「スポーツで価値ある人流とコミュニケーションを」というビジョンのもと、今後のマーケットや環境に応じたグローバルな視点から「スポーツと観光」、「スポーツとおもてなし」についての取り組みを行う。
倉田氏は「スポーツホスピタリティという言葉自体は、『街づくり』の観点から地域全体の価値向上を図り、地域住民のスポーツロイヤリティや健康志向の向上を目指す『選手による地元施設・商店街訪問、ボランティア活動などのスタジアム外活動』、チームやリーグの魅力をアピールしファンの増加を図る『スタジアム内のファミリーシート・テラス席等のコンテンツサービス』、欧米型の特別な食事と体験を取り入れ参加者との関係性を強化する『スポーツホスピタリティサービス』まで段階的に使用されます。このように様々な付加価値が付随したスポーツ観戦商品のことを『スポーツホスピタリティ』と定義されると認識いただきたい」と話します。
TSP太陽は特別な試合観戦ができるVIPルーム・VIP BOXシートの運営も行っています(写真上部)。
「これまでの経験上、スポーツホスピタリティを購入したゲストに最も価値を感じていただいた体験シーンは、選手や著名OB・OGとの“ふれあいの場”の設定です」と倉田氏は語ります。2024年発足したSVリーグは、他のスポーツリーグに比べて非常にファン層が若いのが特徴。
「チームや選手たちの中で“リーグやバレーボール全体を盛り上げていこう”という機運が高まっています。そのため観客やファンをより一層大切にすべきという認識が強いと想定されます。例えば、実際にプレイヤーが高いホスピタリティマインドを維持していることからも人気の女子プロゴルフ界のように、選手一人ひとりの考え方、あるいはチームの方針により人気が高まる状況を作り出していくことが出来ると考えられます。このような“ふれあい”は、ホスピタリティゲストの満足度向上のみならず、選手にとっても選手個人のスポンサーやセカンドキャリア開拓の機会となる可能性があります。まさにスポーツコミュニティの場の創出です」とホスピタリティの向上により、ファンだけではなく選手にも影響を与えると倉田氏は語ります。
SVリーグについて、「私見ながら、バレーボールはコンタクトスポーツではないため、コンディション次第ではあると思いますが試合前後においても体力的にはサービス提供が可能な場合があることも利点です。このようにバレーボールの持つ独自の価値がTSP太陽のイベント運営ノウハウと掛け合わされ、本格稼働すれば、SVリーグ独自の目玉コンテンツとしてユニークなプログラムが組めるのではないかと考えています」と、当社の強みと掛け合わせることで、高いホスピタリティを実現できると語ります。
さらに倉田氏は「欧米では富裕層や大企業のトップなどの接待対象者向けのサービスが重視され、高級感溢れる社交場の創出が行われています。富裕層向けの施設が少ない日本では、特別な空間での食事や体験にとどめるのではなく、独自のホスピタリティを検討していくことが望ましいと思います」と日本では新たな価値を創出する必要があると説明します。
当社の「スポーツホスピタリティ」領域のアドバイザーを務める倉田知己氏
当社の「スポーツホスピタリティ」領域のアドバイザーを務める倉田知己氏
「日本型ホスピタリティのポイントは、スタジアムやアリーナに来るお客様すべてに“感謝”を伝える仕組みの構築です。観客の予算や観戦目的に応じた細かな商品設定を行う配慮がスポーツイベントにおけるお客様への感謝をベースにしたホスピタリティの具現化に結び付くのではないかと思います。例えば、VIPルームは富裕層向けに利用されるだけではなく、発達障がい児のためのセンサリールーム※として活用されるケースが出てきました。今後はさらに透析等の医療機器を常に携帯しないと観戦できない患者さんのためのスペースとしての利用や、ペット同伴で観戦したいというニーズに応じた臨機応援な空間利用の工夫などが検討されていくでしょう」。
経済面のみならず社会面でも価値を生み出す日本型スポーツホスピタリティの黎明期とも言える現在。倉田氏は「欧米型をそのまま持ち込むのではなく、独自に様々な活用方法を検証していくのが良いと考えます」と話します。
※センサリールームとは、音や光、香りなどの五感の刺激を調整し、特に感覚過敏の症状を持つ人が安心して過ごせるように工夫された部屋を指します。
今後、当社では倉田氏からご助力いただきながら、共に日本型のスポーツホスピタリティサービスの創造を目指します。これまでの仮設施設の設営ノウハウを駆使すると共に、お客様への感謝をコンセプトにした“ゲストジャーニー”や、地域や地元住民の皆様などスポーツイベントに関わるステークホルダー全体の満足度向上に貢献できるイベントの商品化など、様々な取り組みを行っていきます。SVリーグのゴールドパートナーとして、オールラウンドなサポートでバレーボールをはじめとしたスポーツ界の価値向上を実現できる、ホスピタリティサービスを提供してまいります。