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COLUMNコラム

オーバーツーリズムとは? 地域住民に与える影響と対策事例を紹介

一つの都市や観光地に対して想定以上の観光客が集まってしまい、観光地の景観が損なわれたり、地域住民の生活に悪影響を及ぼしたりする現象をオーバーツーリズムといいます。オーバーツーリズムにより、さまざまな問題を引き起こす可能性があります。今後ますます海外旅行客の流入が見込まれる日本において、早急に対策が必要です。

本記事では、オーバーツーリズムの主な要因や地域住民に与える影響を挙げ、各地の対策事例や当社が手がけたデジタルソリューション活用の事例を紹介します。オーバーツーリズムの対策を検討している自治体担当者さまは、ぜひ参考にしてください。

オーバーツーリズムの主な要因

オーバーツーリズムを引き起こす要因は、急な観光客増加という外的要因はもちろん、受け入れ態勢の整備が間に合っていないという内的要因も関係しています。ここでは主な要因を見てみましょう。

旅行者人口の増加

旅行者人口増加の背景には、世界各国で格安航空会社(LCC)が普及し、低価格での海外旅行が可能になった点が考えられます。また、アジアや中東、アフリカ諸国の中間所得層が増加傾向にあり、旅行が身近な趣味になった点も要因の一つです。

また、旅行者人口の増加に伴い、民泊を中心に手軽に宿泊できるサービスが充実してきました。結果、多くの観光客が訪れるオーバーツーリズムの要因として挙げられます。

受け入れ態勢の未整備

インターネットやSNSの普及により、これまで観光地化されていなかった地域・スポットにも観光客が訪れるようになりました。その結果、観光客に対する環境整備が間に合わず、オーバーツーリズムを引き起こす要因となっています。

オーバーツーリズムが地域住民に与える影響

オーバーツーリズムは、都市部だけの問題に留まらず、地方都市でも課題に挙げられるトピックです。では、実際に地域住民に対してどのような悪影響を与えているのでしょうか。主な影響を3つ見てみましょう。

交通混雑

多くの観光客が集まると、電車やバスなどの交通機関の混雑が予想されます。通勤通学の時間帯に、混雑による遅延が発生したり、公共交通機関は地域の高齢者にとって大事な移動手段であるにも関わらず、乗車できないというケースも目立ちます

また、観光客はスーツケースなど大きな荷物を持って移動する機会が多いため、実際の乗車人数以上に混雑していると感じる場合もあるでしょう。結果、地域住民の交通を妨げる要因の一つとなっています。

騒音・マナー違反

さまざまな文化や価値観を持った観光客が集まるため、騒音やマナー違反といった問題も、地域住民の頭を悩ませています。アルコールを飲んで深夜まで大きな声で騒いだり、私有地や公共施設など立ち入り禁止区域に入って写真撮影をしたりと、トラブルになるケースは多種多様です。

特に、ゴミのポイ捨て問題は深刻です。地域住民の方々がボランティアで清掃活動をしているケースもあり、負担をなくすためにも早急な対応策が必要とされています。

文化財・遺跡などの損傷

世界的に有名な文化財や遺跡をはじめ、地域住民が大切にしている文化財などが観光客によって傷つけられる事態も増えています。これもオーバーツーリズムによるトラブルの一つといえるでしょう。

故意なのか、過失によるものかは定かではありませんが、文化財・遺跡の価値の低下につながる重要な問題です。今後は、地域にとっても貴重な財産を守る対策を考えなければいけません。

オーバーツーリズム問題の解決策

それでは、どのような対策を実施すれば、観光客と地域住民の双方が満足できる観光地づくりができるのでしょうか。さまざまな解決策が考えられますが、ここでは3つの方法を紹介します。

観光客の分散化

オーバーツーリズムは、一つの都市や観光地に、想定以上の観光客が集中することで生じます。よって、観光場所や時間帯、時期などの分散化が有効な対策です。現在、各自治体や観光協会は、観光客を分散させる解決策として、有名な観光地の周辺にあるスポットを勧めています。

また、オフシーズンの魅力をインターネットやSNSで発信し、人の密集を避けた新たな旅行の楽しみ方を紹介しています。ベストシーズンを避けて観光してもらうだけでも、観光客の分散に一定の効果がみられるでしょう。

観光地の有料化・入場制限

これまで無料で観光できていた場所を有料化したり、一定数を超えた場合に入場制限をかけたりする方法も、オーバーツーリズム問題を解消する有効な対策といえます。観光スポットへの入場を事前予約制にするのもおすすめの方法です。

一部の国では、観光税や入島税など、税制度の改正をおこなう事例もあります。日本でも宿泊税や入湯税など観光に関する税制度がありますが、今後海外旅行客に向けた税制度が設定されるかもしれません。

観光マナーの普及

地域住民に与える影響で取り上げた観光マナーは、地道な普及活動が有効です。そもそも、海外からの観光客のなかには、日本のルールやマナーを知らずに来日する人もいます。そのため、観光客にもわかりやすいように、多言語対応をはじめ、誰でもわかるアイコンでの看板やパンフレットでマナーの提示をしたり、実際に呼びかけたりすることが大切です。

海外ではゴミのポイ捨てや路上での飲酒に対して、罰金制度を設けている国もあり、一定の効果も発揮しているようです。

各地のオーバーツーリズム対策事例

オーバーツーリズム問題に直面しているのは、日本だけではありません。では、観光先進国と呼ばれるスペイン・バルセロナと、日本有数の観光都市・京都府の実際のオーバーツーリズム対策の事例を見てみましょう。

バルセロナ(スペイン)

1992年のバルセロナオリンピックを機に、世界中から観光客が訪れるようになったスペインのバルセロナは、オーバーツーリズムによって住民の生活環境は悪化する一方でした。住民による観光反対デモも頻繁におこなわれるようになりました。

事態を重く見た政府は2017年、「2020年に向けた観光都市計画」を発表。これにより、新たな商業施設の開設や、観光客向けのホテルの建設を禁止する対策を実施しています。

京都府(日本)

古い建物が数多く残る京都府では、地域住民の生活圏へ観光客が侵入するなど、オーバーツーリズムによる生活環境の悪化が深刻です。さらに、観光に便利であることから、市バスが多く利用され、常に混雑していて地域住民が利用できない事態に陥っています。

こうした問題を解決するため、海外の観光客向けリーフレットを配布し、マナー啓蒙に力を入れたり、1日乗車券を発行して、市バスと地下鉄の両方の利用を呼びかけたりしています。

TSP太陽が得意とするデジタルソリューション活用の事例紹介

TSP太陽株式会社は、さまざまな地域や自治体が抱えるオーバーツーリズム対策に関して、デジタルソリューションの活用を提案しています。これまでの具体的な活用事例を二つ紹介します。

ぐるっと川越まち歩きスタンプラリー(埼玉県)

埼玉県川越市で開催した「ぐるっと川越まち歩きスタンプラリー」は、市内の24か所を周遊するスマートフォンを使った“非接触型”スタンプラリーイベントです。TSP太陽が「観光客の集中を避けたい」、「市内全域の経済活動を推進したい」といった自治体の要望に応えるために、デジタルソリューションを活用した事例です。

イベントは、コロナ禍でも楽しめる持続可能な観光を実現する目的で、普段訪れる人が少ない場所に参加者を誘導するきっかけをつくりました。オーバーツーリズム対策の一つである観光客の分散にも有効的な施策といえます。

ローカル5G×スマートシティYOKKAICHI Great Expo(三重県)

三重県四日市市で開催した「ローカル5G×スマートシティYOKKAICHI Great Expo」は、高度な通信インフラがもたらす四日市市の未来を描く展示・実演イベントです。TSP太陽では、設計から施工、会場運営、演出、参加申込受付システムの構築までを担当しました。

特に参加申込受付システムの構築は、当日来場者がスムーズに参加できるしくみをつくりました。オーバーツーリズム対策においても、観光地の入場を制限する施策の一つとして、参加申込受付システムの導入が有効だと考えます。

まとめ

オーバーツーリズムは、海外旅行客の増加に伴い、全国各地で顕在化している問題です。そのようななかでも各自治体は試行錯誤し、まだ知られていない観光スポットのPRやオフシーズンの魅力紹介、日本における観光マナーの啓蒙など対策を講じています。

今後、デジタルソリューションを活用したオーバーツーリズム対策の検討をする自治体は、ぜひ実績のあるTSP太陽株式会社にご相談ください。デジタルコンテンツの提案からシステム構築、運営、交通輸送までトータルサポートをいたします。

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