PROJECT実績紹介
練馬区酸素・医療提供ステーション
練馬区酸素・医療提供ステーション
(2021年9月17日~2022年11月22日)
令和4年(2022年)、新型コロナウイルス第7波が収束を迎えた11月22日、前年9月から約14ヶ月間稼働した「練馬区酸素・医療提供ステーション」が閉所した。もともと光が丘第七小学校跡地だったこの旧校舎は、現在、区の福祉施設等として活用されている。
さて「練馬区酸素・医療提供ステーション」(以下「練馬区酸素ステーション」)は、新型コロナウイルス第5波が猛威を振るっていた令和3年9月に急遽開設された。
デルタ株と呼ばれたこの「第5波」は過去最大の波となり、これまでとは桁違いのスピードで膨れ上がる感染者を前に、各地の病院は患者の受け入れが追いつかない、という危機的状況に陥っていた。
そんな最中、「新型インフルエンザ等対策特別措置法」第31条の2 第1項の規定に基づく「臨時の医療施設」として、「練馬区酸素ステーション」(※後日、「練馬区酸素・医療提供ステーション」に名称変更)は開設された。この施設は、自宅療養中の新型コロナウイルス感染症の患者で、救急搬送を要請した方のうち軽症者を一泊二日を目安に受け入れ、医師・看護師による健康観察、酸素投与、中和抗体薬投与などを行うものだ。
入所者は、酸素投与や中和抗体薬療法といった、症状を和らげる医療処置を受けながら、帰宅するか、病院またはホテルへ移送されるかの判断を待つ。
「最大35床と比較的規模は大きくなかったものの、1年2ヶ月の稼働で延べ1000人以上の患者さんが利用しました。その間、常駐してくださった医療従事者の皆さんのご尽力で、大きな事故もなく、全ての患者さんを自宅または病院へお送りすることができました」。
そう語るのはTSP太陽株式会社の猿渡俊輔だ。当プロジェクトにおいてTSP太陽は、開所前の設計・施工から、開所後は受付管理、弁当手配、備品手配、警備・清掃といった、施設運営における医療以外のすべての実務を担当した。猿渡は、現場を円滑に回すための現場監督者にあたる。
「閉所を迎えて、ホッとしたという気持ちが大きかったですね。入所された皆様、症状が落ち着き無事にご自宅等へ戻られたり、必要な時には入院するなどができました。また、我々運営スタッフの中にも1人の感染者が出なかったことは、本当に良かったと思います。皆さん、大変な緊張感の中で日々を過ごしていましたから」(TSP太陽・猿渡)。
新型コロナウイルス感染症が5類に移行してしばらく経った現在となっては薄れつつある緊張感だが、コロナ禍2年目、3年目当時は決して大袈裟ではなく”命がけ”だった。そんな、薄氷を踏むような現場で働く医療従事者、運営スタッフたちを、強く勇気づけてくれたのは、入所者からの手紙だったという。
「退所された患者さんから『すっかり治りました。ありがとうございました』『丁寧に診ていただいてありがとうございました』など、感謝の手紙が何通も届いたんですよ。これは非常に励みになりましたね。やり甲斐を感じました」(TSP太陽・猿渡)。
また、共同で施設の全体管理を取り仕切っていた練馬区からも、運営期間中は折に触れて感謝の言葉をもらったという。
「コロナ禍の影響が大きかった当時は、区役所の中で様々な部局の職員が応援として地域医療担当部にコンバートされてきており、その影響で他の公共事業のサービスが一部手薄になっていたという状況だったようです。我々が施設内の業務をより多く吸収できたことで、いち早く役所内が平時に戻ることができた、とおっしゃっていただけました」と、営業担当で事業責任者のTSP太陽・柳澤佳男は胸を張る。