COLUMNコラム

TSP太陽は2026年7月27日、日本工学院八王子専門学校(東京都八王子市)において、ITカレッジAIシステム科の学生達を対象に、「イベント現場のDX」をテーマとした特別授業を実施しました。
講師を務めたのは、イベント事業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を担う部署・イベントDX室の社員2名。イベント業界で進むDXの現状や、デジタルソリューションを活用したイベント運営の最新事例について、実際のプロジェクト経験を交えながら紹介しました。
今回の授業では、「人の体験をより良くするために、どのように課題を発見し、DXで解決していくか」をテーマに、イベント現場における課題発見からデジタルソリューションによる解決までの考え方を解説しました。
講義の冒頭、当社イベントDX室の石川・中井は、
「イベント現場におけるDXとは、紙をデジタル(スマートフォン等)に置き換えることではありません。『現場で起きていることを記録・共有・分析できる状態にし、来場者体験の向上と運営を継続的に改善すること』だと捉えています」
と説明。


モノ消費からコト消費に変わりゆく中で、消費者がイベントに求める体験価値はますます高まっています。その一方で、イベントの運営においては人手不足への対応、安全管理の高度化など、さまざまな課題があります。
こうした課題を解決するためには、単に業務をデジタル化するのではなく、実際の現場で何が起きているのかを理解した上で、課題に適した技術を実装することが重要だと、石川・中井は話します。
当社は年間約1,100件、企画・設計・施工から運営までさまざまな形で多様なイベントに携わっています。

大阪・関西万博にて遺失物や拾得物の情報登録・管理に「SHIROYAGI」を使用するゲストサービスアテンダント

大阪・関西万博にて遺失物や拾得物の情報登録・管理に「SHIROYAGI」を使用するゲストサービスアテンダント
現場で感じた課題や、これまで培ってきたノウハウをもとに、イベント運営に特化したアプリ「SHIROYAGI™」を開発しました。ペーパーレス化や業務負荷の軽減など、イベント現場の課題解決を目的とした同アプリは、大阪・関西万博における来場者サービスの実施運営にも導入されています。
さらに2026年6月には、デジタルチケッティングサービス「EVENT-GO!®」もリリースしています。
イベントの現場を知る企業だからこそ見えてくる課題を起点に、自らデジタルソリューションを開発し、現場への実装まで行う。今回の授業では、当社のDXへの取り組みを、実際のサービス開発やプロジェクト事例を通じて学生に紹介しました。
また、サービスの機能だけではなく、「なぜそのサービスが必要なのか」「現場ではどのような課題が起きているのか」といった、DXを進める上での課題発見のプロセスについても紹介。
人に依存したノウハウを仕組み化するまでの、現場の試行錯誤を交えながら説明することで、学生がイベント業界におけるDXをより具体的にイメージできる内容としました。

講義資料の一部
講義後には、学生から活発な質問が寄せられました。「イベント会社がチケットシステムに参入するメリットはどんなところにあるのか」「イベント会場での通信環境にはどのような対策をしているのか」など、イベント現場でのサービス導入や技術的な課題に踏み込んだ質問や、「ユーザーデータを取るのが大変だという話があったが、マイナンバーの活用はどうか」といった意見もあり、実務に基づく意見交換が行われました。
講師を担当した石川は今回の特別講義を終えて「イベントDXの目的は、単に業務をデジタル化することではありません。来場者、主催者、出展者それぞれに新たな価値を生み出し、より良い体験を実現することにあります。今回の講義を通じて、先進技術を学ぶ学生の皆さんに『なぜDXに取り組むのか』という本質的な視点をお伝えできていればうれしいですね」と言います。同じく中井は「学生たちの鋭い視点は、私たちにとっても刺激になりました。イベント業界でのDXの最前線を学生に伝えることで、学生のキャリアの幅が少しでも広がったら」と振り返りました。
イベント業界では、AIやデジタル技術の活用が進む一方、技術を導入するだけではなく、現場の課題を「理解」し、適切な技術を使って解決へ導ける人材の価値が高まっています。
TSP太陽は今後も、年間約1,100件のイベントを支援する中で培った現場の知見をもとに、イベントDXに関するソリューションの開発・実装を進めるとともに、そのノウハウを広く発信してまいります。